事業紹介

三国トリコット株式会社は
短繊維混トリコットを日本一生産している
トリコット生地メーカーです

失われた技術(ロストテクノロジー)とは

三国トリコット株式会社の保有する経編機は、現在では作られていない旧式のトリコット機:ベアードニードル機です。
生産量を追い求め、高速化の道へ進化を続けるトリコット業界では淘汰されていき、現在では保有する工場はほとんどありません。
私たちが旧式かつ低速のベアードニードル機を残し続ける理由は、

  • ① 綿、麻、ウールを始めとした、天然繊維・短繊維が高混率で含まれるトリコット生地を作ることが出来る。
  • ② 高速機では出せない最高の風合いが出せる。

大きくこの2つです。
手放したら二度と再現出来ないこのハードウェアを、現代で生かし続けることこそが三国トリコット株式会社の使命だと考えています。

ベアードニードル機(Beard Needle)

一般的なトリコット機は高速稼働に適したコンパウンドニードル(複合針)機です。
ベアードニードル機とコンパウンドニードル機との一番の大きな差は、編地のループ(編目)形成に最も影響を与えるニードル形状・機構の違いです。

ベアードニードルは通称『ひげ針』と呼ばれ、先端が曲がった細くて柔らかい針でループを形成することで、極上の風合いの生地を編み上げています。
その針の繊細さから高速稼働には適さず、扱う際にもマニュアル化出来ない技術を要します。

天然繊維・短繊維高混率のトリコット生地

高速化により大量生産に特化したトリコット機において、天然繊維を編むことは容易ではありません。
しかし、三国トリコット株式会社にはベアードニードル機に加え、それを扱う技術が受け継がれており、天然繊維高混率生地の生産を可能としています。
では天然繊維が多いトリコット生地にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

  • ① 土に還る素材を使用することでサスティナビリティを持たせることができ、環境問題に貢献する。
  • ②織物と編物の良さが共存するトリコットであるため、ストレッチ性・ソフト感・形状安定性を兼ね備え、仕立て映えの良さとイージーケアを両立出来る。

大まかにこのような内容です。トリコットであることと天然繊維が含まれることの両方のメリットを合わせ持つ形になります。
また、短繊維が使用可能であるということは素材選択の自由度が高いとも言えます。
これまでトリコットで使われていない糸・素材はもちろん、これから生まれてくる新しい素材も視野に入れた、幅広い製品開発を可能としています。

天然繊維

  • 綿

    ① 天然撚りがあるため、弾力性に富み柔らかく、ふっくらと肌触りが良い。
    ② 組織の小さい孔や中空構造が液状の水を吸水し、超微細繊維の働きや水と親和性の高い水酸基の働きで吸湿性が良い。
    ③ 他の繊維より高湿に耐え、軟化・溶融しない。
    ④ 中空構造のため、保湿性が高い。

  • ①通気性に優れ、水分の吸収・発散が良く、汗ばんでも肌につきにくいなど、天然繊維の中で最も爽やかな涼感がある。
    ② 繊維構造が緻密で、汚れにくく洗濯で汚れが落ちやすい。
    ③ 優雅な光沢感がある。
    ④ 綿よりも吸湿性・放湿性が高い。

  • ウール(羊毛)

    ①弾力性があり、型崩れしにくい。
    ②防シワ性が高く、シワができた場合でも元に戻りやすい。
    ③ 熱伝導率が低いため、保温性が高く暖かい。
    ④染色性が良く、色落ちしにくい。

サスティナビリティ

昨今では世界的に物が溢れており、行き場を失くした物たちが環境への悪影響を及ぼし問題となっています。
私たちが愛を込めて作り上げた物たちが、最終的には忌むべき存在へ成り代わる、そんな現状を打破出来ないだろうか。
私たちは、唯一無二のハード(編み機)&ソフト(素材)によって、持続可能な生地を生み出すことが、持続可能な社会の実現に繋がると考えます。
これからの物作りの在り方を日々模索しながら、環境により良い製品開発を目指しています。

その他の取り組み

環境への負荷の少ない素材として

  • リサイクル素材

    リサイクルPEやNyの原糸も使用しています。

  • オーガニックコットン

    化学肥料や農薬を使わずに栽培・生産された綿糸での開発も行っています。

  • 再生繊維

    レーヨンやテンセルなど、これらも短繊維を使用可能です。

  • 生分解性素材

    天然繊維に、天然繊維以外の土に還る素材を合わせることで、生分解性の生地を作ることが出来ます。